仕事の外回りのいつものルートの途中に小さな田んぼがあります。
この田んぼで今日、田植えを行っているのを見かけました。
ここ、東京都内なんですよ。
多摩北部で残っている数少ない田んぼです。
しかも手植えで行っています。手植えでの田植えなんか、今時中々お目にかかれません。
小さな田んぼであるがゆえに、手植えで出来るのでしょう。
ところで、田植えというと私が子供の頃は5月の上旬の頃の風景でした。
3月中から田に水を入れて土を軟らかくして、4月に入ると田起こしをして代掻き、それと並行して苗床で稲の苗を育て、5月に入って田植えというパターンでした。
3月に水を入れるとその溜まった水にカエルが卵を産んで、桜が咲く頃にはオタマジャクシが見られたものです。
しかし今は、田植えが遅い!!。
稲が早生品種ばかりになって、稲作の期間が短く済むので田植えを遅くすることが出来るようになったのです。
稲作農家は楽になったのでしょうが、田んぼに生息する生き物たち、特に繁殖場所として田んぼを利用していた生き物にとっては繁殖に使える期間が短くなって死活問題だと思います。
メダカの生息数が少なくなって絶滅危惧種に指定されていますが、稲作の変化が大きく影響しているのは間違いありません。
春に田に水が入るとその水の中でミジンコが爆発的に発生します。これをエサとしてメダカが繁殖するのですが、今はその期間が短くなってしまっているのです。
これは、田植えの時期が遅くなっているのとともに、今の稲はあまり水を多く必要としなくなっているので、稲がある程度育つと田の水を落としてしまうことも更に期間が短くなることにつながっているのです。
メダカだけでなく、先ほど出したカエルも数が少なくなっているのも同じ原因です。
更に拍車をかけているのは田の中の水路の護岸化です。
管理はしやすくなるのですが、コンクリートで護岸をすると、水路の変化が無くなって生き物の生息する場が消えてしまいます。
タナゴが良い例で、同じ流れの水路でも護岸をしていないところには居ても、してあるところでは全く居ません。
メダカやタナゴが少なくなったからと保護しようとしても、環境が伴わなければ本当の保護はできないんです。
もう少し考え方を変えないと、取り返しがつかなくなります。
話は変わって、今日の外回りの途中でカッコウの鳴き声を聞きました。今年初めてです。
ホトトギスの鳴き声は2週間ほど前から聞いていましたが、カッコウは聞いていないなぁと思っていたのです。
カッコウとホトトギスは近種で、生態や生息地域がほとんど同じです。
冬は東南アジアなどの暖かな地域で過し、夏に日本にやってきて繁殖をします。典型的な夏鳥です。
繁殖すると言っても、巣を作って卵を温めて雛を育てるわけではなく、他の鳥の巣に卵を産み付ける、いわゆる托卵をします。
ですから、卵を産み付けるのが終わるともう繁殖は終わりで、8月に入る頃には鳴き声を聞かなくなってしまいます。
意外とその鳴き声を聞く期間は短いのです。