チシャムシを獲るためのエゴノキの種の採取時期は、今がチャンスです。
9月の下旬以降に落ちる種には、チシャムシがほとんど入っていなくて、今の時期までに落ちている種を拾う方が効率が良いからです。
実はエゴノキはその落実の時期に三つのピークがあります。
一つ目は8月の上旬、二つ目は8月の下旬から9月の中旬、三つめは9月の下旬以降、です。
そのうち、チシャムシが入っている種は二つ目のピークの時期に落実したものだけと言ってよいのです。
私がエゴノキの種を拾う木はいくつかあるのですが、そのうち毎年一番収量が多い木の今年の実は第一のピークにほとんど落ちてしまったのです。
この写真は8月6日の物で、8月上旬に落ちている種を拾ってもダメなことはわかっていたのですが、ちょっと様子を見るために寄ってみたら、沢山の種が落ちているのを見つけたのです。
木を見上げると、ほとんどの実が落ちてしまっていて、残っているのはわずかです。
これを見たときアチャー・・・と思ったのです。これでは、この木からのチシャムシの収穫はあまり期待でません。
中に虫が入っていないことは知りつつ、その種を拾いました。
30分ほどでこの量です。
家に持ち帰り試しに種を割ってみましたが、ことごとく虫は入っていません。
エゴノキの落実に三つのピークがある理由は、エゴノキにはトラブルが発生した実を先に落とすと言う特性があるからです。
それはそうです。トラブルが発生した実、つまり発芽の可能性が無い実はさっさと落として、発芽の可能性がある実に栄養を集中した方が良いのは当たり前だからです。
この、三つのピークについて、解説します。
まず、最初のピークに落ちる実は、何らかの原因で、種の中の仁(発芽すると双葉になる栄養の蓄積した部分)が育たなかった実なのです。
チシャムシはこの仁を食料としていますので、当然空っぽの種の中では成長することができません。
二つ目のピークの落実は、仁は育ったのですが、その後虫の侵入を受けた実です。つまりチシャムシの産卵を受けた実です。
三つ目のピークは仁が無事育ち、かつチシャムシの産卵も無くて、発芽の可能性がある実なのです。
これからわかるように、チシャムシの採取には二つ目のピークで落ちた種を拾うことが良いのがわかります。
実は、この一番種を拾う量が多い木以外の他の木も今年はあまり良くありません。
第二の収量がある木は今年はほとんど実をつけなかったのです。
この様にエゴノキの仲間は年によって実をつける量に非常にばらつきがあるのです。
これはチシャムシ、つまりエゴヒゲナガゾウムシにとっては大問題です。
エゴノキの実が育たず、産卵床が無ければ、子孫を残すことが出来ないことを意味するからです。
これについては、虫は驚くべき戦略で対処をしているのですが、そのことについて、また機会があれば記事にしたいと思います。
さて、第一と第二の収量がある木からの採取の量が少ないので、今のところ少々チシャムシのストックに今年は苦戦してます。
幸い第三以降の木はある程度収量があり、また新たに今年収穫しやすい木を見つけたので、そこからの収量でそこそこストックは確保できています。
あとは、昨年の収穫したエゴノキの種の中の虫の生存率が良くなかったので、今年のチシャムシの生存率をあげる工夫をしなければならないと思っています。